アコギ購入までの道程2
ある日,大学軽音楽部時代の同期と連絡を取る機会があった。
彼はギターの輸入代理や国内の工房でギターを作成・販売などをやっている大手企業でギターの作成を行うようになっていた。
私なんかはあくまで素人趣味としてギターを嗜む身なので,ヤンギやギタマガなどで知識を入れてちゃかちゃか弾いて音の良し悪し(というか好み)を判断する程度だけど,彼はプロとしてギター作成やリペアに携わり,既にフェスに自作ギターを出展するほどの人になっていたので,無論手にしたギターやそれに関わるパーツの数は比較にならない。色々と業界話もしてもらい,大変盛り上がった。
そこで私が,アコギの購入を考えている旨を話すと,週末に楽器屋巡りに行こうと提案してくれた。
今回は前回と逆回りのルートで楽器屋を巡ることとなった。最初の2件を軽く流し,三軒目でかねてより興味をもっていたIbanezのAEGを見つけたので,Takamineの8万くらいのギターと弾き比べてみた。
AEGはやはり握りやすく弾きやすい。彼曰く作りも「値段相応以上,さすがIbanezだね」ということだった。
ただ,やっぱりTakamineは良いなと思った。3万くらいがんばって,ローン組むなりなんなりしてTakamineにしたほうがいいのかしら…
あとどうやら5万以下のギターは予算が限られているため中々個性が出しにくい,ということだった。「10万前後になると面白くなってくるんだけどね」と彼は言っていた。
道中も,昼飯の若鯱屋でも多いにいろんな話で盛り上がった(その間,もう一軒かるくみて回った)。工房での色々な話,量産メーカーと小規模の工房との違い,最近きいている音楽,軽音時代の仲間のその後の話,など…
しばらく会っていなかった(4年ぶりくらい)が,この懐かしいノリが本当に心地よかった。
俺「昔,安ギターかって改造しまくったの覚えてる?」
彼「ああ,ロゴをESPみたいな字体に張り替えてスキャロップ加工したりしてたやつだろ」
俺「そうそう,あの時に作った安ギター改造のコミュニティ,いまは2000人くらい人がいるんだよ…ヴァンヘイレンに習ってオリジナリティのあるギターを作ろうとか言ってたな」
彼「うん,レリックしてるのにフレットが減ってないってアレな,練習してなかったから」
コーヒーを飲んで一休みし,最後の一軒,石橋楽器。そこでMeridaという聞いたことないメーカーのアコギがあった。店員の話によると既に数年前に石橋が輸入販売するようになってたらしいけど,初めてみた。渋いヘッドがなかなか気になって,アコギなのにアームレストがついていたりして,比較的小型で弾きやすそう。うっすらバックが膨らんでいる加工も綺麗だった。
見た目が好みで,早速弾いてみることにした。Meridaのアームレストがついたものと,これも見た目で気になったエキゾチックウッドの木目が綺麗に出ていたCortのギター(いずれも5万前後)と,やはりTakamineの8万くらいのもの。
安定のTakamine。これはちょっとハイがキンキンしていたあたりが微妙な個体で買おうとまでは思わなかったけど,やっぱりいい。フォークギターでエレアコじゃないから,比較して音がいいのは当然といえば当然だが。
次にCort。30秒くらい弾いて返した。
最後にMerida。厚みはあるけど小型で,アームレストが厚みを感じさせない。
弾いてみると…
…!
ミッド・ハイが抜けるのに深みがあって,非常に良い鳴り!先のTakamineにも劣っていない。
コードを適当に鳴らして彼と顔を見合わせる。
「これはいいね!」
単音で優しく弾み,コード弾きでも元気なのにとげとげしさはない。聞くところによると,安いけどナットとサドルにはタスクが使われているらしい。新品でこの鳴りなら,何年も引き込んだら鈴鳴りが見込めるんじゃないだろうか…
もちろんン十万するいいギターには劣るかもしれないが,アコギとしては一本目の自分には充分過ぎるくらいの出来。
一目惚れでその場で購入。
渋いのに新鋭的で,見てるだけでもなかなか。
ピックアップもFISHMANのもの。私は知らなかったけど,彼がオススメする点としてもこれを挙げていた。
ヘッドとサウンドホールの中。これも渋い。
もっとも大きな特徴とも言えるアームレスト。このほんの少しの工夫で,ボディの厚みを感じさせない。ボディ自体を薄くするより鳴りを犠牲にしないかも。
以外とたくさんのモデルがあるらしいけど,これはC-35OMCESという型で,上位機種らしい。
家で弾いてみても満足!いつまでも弾いてたくなる一本でした。